制度見直し最大の焦点 200万人に影響 予防給付
・認定審査会で非該当者除外

給付区分の決定

 厚生労働省は昨年末、介護保険制度改革の全体像を明らかにした。二十一日からの通常国会には関連法案を提出する。概要をまとめた。

 全認定者数の約五割を占める要支援、要介護1の軽度者を対象にした予防強化は今回の制度改正で最も大きな見直しとなる。
 介護給付か予防給付かで受けられるサービスが変わるのがポイントだ。保険給付区分の決定は要介護認定と一体の行政処分として行う。従来の要介護認定で要支援、要介護1と判定された人から、審査会が病状が不安定な人や痴呆があってサービスの内容について理解ができない人など条件に合わない人を「除外」する方式だ。軽度者の七~八割が該当するとみられている。「除外方式」にしたのは、予防給付がターゲットにしている廃用症候群の対象者を評価するだけのデータが不足しているためだ。
 予防給付の対象に選ばれた人が新たな要支援者。旧要支援者は要支援1、要介護1は要支援2と二段階に区分する予定。
 また、要介護認定時の調査には、審査の参考となるように生活機能の低下の程度や維持の可能性を評価するための一〇項目程度を追加する。主治医の意見書の見直しも行う。
 保険給付区分の有効期間や、不服申し立て手続きは現行の要介護認定と同じとする。
 介護給付とは別建てに サービス内容
 新・要支援者、すなわち「予防給付」に区分されると介護給付との併給は認められない。このため、サービスが大きく制約されるのではないかと懸念されていたが、既存サービスが見直された上で予防給付にも位置づけられることになり、サービスメニューを見る限り大きな変更はない。従来と最も違う点は、地域包括支援センターの保健師が予防マネジメントを担う点だ。市町村の責任のもと、老人保健事業や従来の介護予防事業を再編して創設される「地域支援事業」と一体で効果をあげることが期待されている。
 新たに追加するのは科学的根拠が認められたとする「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」の三種類。
 「運動器の機能向上」では、大掛かりなトレーニングマシンを利用したものだけでなく、セラバンドやダンベル、太極拳など幅広い手法も含む。デイのプログラムに加えたり、居宅療養管理指導と配食サービスを組み合わせるなど既存サービスも活用しながら実施体制をつくる。

シルバー新報 1月14日号より抜粋

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