今季もインフルエンザが流行りそうです。

神奈川県でもA型香港が1月16日~22日の間で217人と累計336人になり、
ここにきて倍以上に増えてきました。またB型も群馬などで報告されはじめました。


インフルエンザと普通の風邪

 普通の風邪とインフルエンザを混同してはいませんか。
 普通のかぜの症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳(せき)などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。
 一方、インフルエンザの場合は38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。
 さらに、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。
 高齢者や、呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ人は重症化することが多いので、十分注意する必要があります。最悪の場合は死に至ることもあります。
 近年、小児がインフルエンザにかかると、まれに急性脳症を起こして死亡するといった問題も指摘されています。
 また、インフルエンザは基本的に流行性疾患で、我が国では例年11月~4月に流行しますが、一旦流行が始まると、短期間に乳幼児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点や、インフルエンザが流行した年には、高齢者の冬季の死亡率が普段の年より高くなるという点からも、普通のかぜとは異なります。

 インフルエンザにはウイルスの違いでA、B、Cの三つの型がある。人で流行するのは主にA型とB型です。
 ウイルス表面にはHとNの2種類の突起が見られる。A型ではHで15種類、Nで9種類あり、この組み合わせでも型分けする。型分けが違うと、感染する動物や毒性も変わってくる。香港型はH3N2、ソ連型はH1N1の通称。アジア風邪はH2N2だった。

 HやNが同じでも、遺伝子構造が少しずつ変異した株が毎年のように見つかる。変異が進むと、これまでの免疫が機能しにくくなり、数年ごとに大流行するきっかけとなる。

新型の出現の予兆?

 京都府では昨冬、20万羽以上の鶏を処分するなど話題になった鳥インフルエンザ(H5N1)ですが、流行の拡大と共に、人への感染も報告が増えている。
 WHOの集計では、この1年間にタイとベトナムで52人が感染し、39人が死亡した。このうちベトナムでは先月以降、8人が感染し7人が死亡。処分された鶏などの家きん類は、1億2000万羽以上に上る。
 H5N1は、現時点では新型インフルエンザではない。日本国内でひと冬に1000万人以上がかかることもある香港型などに比べ、H5N1の感染者は極端に少ない。鳥から人への感染はめったに起きず、人から人への感染力も弱いようだ。

 ただ問題は、H5N1や他のインフルエンザウイルスが、いつ人間に強い感染力を持つ新型に変異するか予測できないことだ。

 WHOにはインフルエンザ協力センターが世界に4か所ある。日本からは国立感染症研究所の専門家が参画、アジアの研究者とネットワークを築き、新型の出現を監視しているが、最近のアジアの状況は、警戒すべき条件がそろっている。

 そもそも鳥インフルエンザの人への感染が問題となったのは、1997年に香港でH5N1に18人が感染、6人が死亡したのが契機だった。その後、2003年にも香港で1人が死亡、同年にはオランダで、H7N7の感染で1人が死亡した。

 これらは偶発的な感染例だったが、東南アジアを中心とした鳥インフルエンザの現在の流行は、過去のケースと異なり、終息する気配がなく、感染者も増え続けている。

 昨年、タイでネコやトラへの感染が確認された。ウイルスが「種の壁」を超えて、これまで感染しなかった生物に感染する能力を持つ危険も指摘される。数は少ないが、人から人への感染とみられる例も起きた。

 東南アジアでは、農家の庭先で鶏や豚などの動物を放し飼いにする生活スタイルが珍しくない。一部の水鳥はH5N1に感染しても症状がなく、ウイルスを広めている可能性があることもわかってきた。家畜や鳥と人が接触する機会が多い地域では、新型の出現を抑えるのは難しいと専門家は指摘している。

 WHOは昨年末に「新型出現の可能性がいつになく高まっている」との警告を発した。最悪の事態を前提として、対策を実行する時期に来ている。


インフルエンザ予防

<ワクチン接種>
 予防の基本は、流行前にワクチン接種を受けることで、これは欧米では一般的な方法です。
 わが国でも年々ワクチンを受ける方の割合が増えてきています。
 インフルエンザにかかった場合の重症化防止の方法として有効と報告されています。
 インフルエンザは、インフルエンザにかかった人の咳(せき)、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します。
 インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れていたり、睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。

<マスク・加湿器の活用>
 空気が乾燥すると、インフルエンザにかかりやすくなります。
 のどの粘膜の防御機能が低下するためですので、外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。十分に休養をとり、体力や免疫力を高め、常日ごろからバランスよく栄養をとることも大切です。帰宅時のうがい、手洗いも、一般的な感染症の予防としておすすめします。また、インフルエンザにかかって、咳(せき)などの症状のある方は特に、周りの方へうつさないために、マスクの着用が勧められます。

インフルエンザにかかったら?

 どの病気でも共通して言えることですが、早めに治療し、体を休めることは、自分のからだを守るだけでなく、他の人にインフルエンザをうつさないという意味でも大変重要なことです。一般的には以下のような点に注意しましょう。

 ・ 単なるかぜだと軽く考えずに、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。
 ・ 安静にして、休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。
 ・ 水分を十分に補給しましょう。お茶、ジュース、スープなど飲みたいもので結構です。


 インフルエンザウイルス治療薬としての抗ウイルス薬は、医療機関で診察の上で使用できます。
 インフルエンザには抗生剤(抗菌薬)は効きません。
 しかし、インフルエンザにかかったことにより、他の細菌にも感染しやすくなり、このような細菌の感染による肺炎や気管支炎などの合併症に対する治療として、抗生剤(抗菌薬)が使用されます。
 それぞれの薬の効果は、ひとりひとりの症状や体調によっても異なり、正しい飲み方、飲んではいけない場合、副作用への注意などがありますので、医療機関できちんと説明を受けてください。
 また、使用する、しないは医師の判断となりますので、十分に医師に相談することが重要です。
 なお、いわゆる「かぜ薬」と言われるものは、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません。

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