・"現場軽視"に募る不信感

・個人加盟の新組織設立へ

 各都道府県のケアマネジャー連絡協会を会員とする全国介護支援専門員連絡協議会が十二日、横浜市で初の研究大会を開催した。全国から約一〇〇〇人が集まり、テーマ別の演題発表やシンポジウムが行われたが、制度改正に対するケアマネジャーの「本音」が自由に出されたのは四五人が参加した特別企画のグループディスカッションだった。「五年間やってきたことがこんな形の評価になのか」「行政が五○ケース抱えるモデル事業をやってみたらいい」など、憤懣やる方ない現場の思いや疑問が続出した。協議会は、こうした現場のケアマネの声を政策に反映させる場として、個人加盟の「日本介護支援専門員協会(仮称)」の設立準備に入る。

 同連絡協議会は〇三年八月に発足。「現場で働くケアマネジャーの制度に対する意見や要望を吸い上げ国に提言、専門職としての資質の向上と地位の確立を図ること」が目的だが、都道府県ごとの連絡協会を束ねる組織として始まった。現状では事業者を会員とする組織も混在するなど過渡的な状況にある。いずれにせよ「介護支援専門員」を名前に掲げて開催される初めての研究会だ。

 大会テーマと同じ「介護支援専門員の役割と本質」をテーマにしたシンポジウムには、医師、痴呆性デイサービス事業者、保険者、ケアマネジャーがシンポジストとして登壇し、それぞれの立場から、ケアマネジャーの本来的な役割や意義、課題について意見を述べた。広島県介護支援専門員連絡協議会の会員で医師の落久保裕之氏は、ケアマネジャーは主治医とのコミュニケーションの難しさなどから目標設定が難しくなっていると指摘。川崎市の痴呆性デイサービス管理者の柴田範子氏は、状態の変わりやすい認知症高齢者には特に十分なアセスメントを行い、短時間でも現場に足を運んでほしいと要望した。ケアマネジャーの立場からは、群馬老人保健センターの山田圭子氏が「サービスを使わない限り報酬に反映されない介護報酬の仕組みを変えなければならないのでは」と発言したが、現場の本音が噴出したのは、こぢんまりと行われたグループディスカッションだった。

 研究会の冒頭のプログラムでは、厚生労働省の中村秀一老健局長が制度改正について講演を行い、「介護支援専門員を法律の定義規定に明確に位置付けた」と報告。ケアマネジメントの基本に立ち戻るよう求め、「社会保障制度改革のフロントランナー」としての介護保険における役割の大きさを強調した。


 シルバー新報3月18日号より抜粋

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