「基幹型」1カ所を移行
「在支」は現行体制を維持

 介護保険制度見直しで創設される「地域包括支援センター」をどうやってつくっていくか多くの自治体が頭を悩ませる中で、いち早く方針を固めたのは東京都品川区だ。庁舎内にある直営の基幹型支援センター一カ所を「地域包括支援センター」に移行させる。区内一九カ所に配置した在宅介護支援センターについてはそのままとし、既存事業の再編を含め、区としての予防マネジメントの確立を急ぐという。

 運営協議会には 制度推進委当てる
 品川区は在宅介護支援センターを核に行政主導で介護保険を運営してきた自治体だ。区内を一三カ所の圏域に分け、民間に委託し地域型の支援センターを一九カ所設置。庁舎内の基幹型支援センター(在宅相談係)をコントロールタワーとして、足並みを揃えてきた。区内で約五五〇〇件の在宅の要介護者のケアプランの八割を現在も在宅介護支援センターで作成している。
 保険運営に行政が積極的に関与するという意味では品川方式は、市町村事業として「地域包括支援センター」が創設されたことに象徴される制度見直しに最も近いところにあるといえる。
 「地域包括支援センターに求められている機能のうち、総合相談、包括的ケアマネジメントはすでに在宅介護支援センターで行ってきた。足りないのは予防マネジメントだけ」(新美まり・前福祉高齢事業部長)
 しかし、「方針を決めるまでは半年間は大混乱した」という。
 見直しで厚生労働省では、市町村毎に設定した生活圏域毎に地域包括支援センターを設置することを求めている。このため、見直しを機に、区に集中しているコントロール権を地域に分散して民間の在宅介護支援センターに委せていくべきという問題意識が現場に生まれたからだ。
 結局、区の在宅相談係である基幹型支援センター一カ所だけを包括支援センターに移行させることとしたのは、関係機関との調整など民間任せでは難しいこと、今の二層の仕組みを区、包括支援センター、その他の三層に変えるメリットが少ないと判断したからだ。
 在宅相談係は一七人体制。保健師三人のほかは、管理職やケースワーカーなど事務職で社会福祉士はいないが、将来の分権化に向けての人材育成もねらい、区内の法人から社会福祉士、指導的なケアマネジャーの逆派遣を検討していくという。


シルバー新報6月17日号より抜粋

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