在宅で人口呼吸器を使用しながら療養するALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の吸引の実態について東京都立保健科学大学川村佐和子教授らが調査を行ったところ、全体の三割強で家族以外の者が吸引を行っており、そのうち九割近くがヘルパーであることが分かった。訪問看護に対しては「滞在時間や訪問回数が不足」とする声が多く、ヘルパーとの違いが分からないとする意見も二割あった。

 厚生労働省は在宅で療養するALS患者の「吸引」に限って家族以外のヘルパーなどにも認めるようにした。三年後の見直しに向けてデータを収集するのが調査のねらい。全国の保健所保健師と療養者に対する実態調査の二本建てとなっており、二○○三年十二月~二○○四年二月までを調査期間とした。
 ALS患者の概況を見ると、全国五七一一人のうち人工呼吸器使用者は一五三○人(二六・八%)で、六六五人が在宅療養中。このうち、療養者の現況について患者・家族に直接聞いたところ、吸引者の平均人数は三・六人だったが、最も多いのは「五~一○人」で二五%。四人以上で見ると全体の四割以上を占めていた。
 「家族以外が吸引を行っている」としたのは、三割強で二一八人。その九割がヘルパーとなっておりダントツだ。医療職や家族以外が吸引を行う際には、患者本人の同意を得ることや医療職による研修を受けることなどが条件となっているが、研修については八五%が受けていたものの、「なし」も一割。医療職による定期的な指導・管理を行っていない割合も四四%に上っていた。

シルバー新報12月3日号より抜粋

09:00:00