複数の人と話(意思疎通)をするのが、会話。1対1で話をするのが対話です。

会話・対話は話題の伝達を目的とせずに、話すことで共通の価値観を共有認識したり、共通の時間を分かち合ったりすることに着眼点があるものである。また、話すことでストレスを解消する機能もある。
また、相手が「報告」のつもりで話をしても自分が「会話」のつもりで話をしていると「報告」にならない事がある。(会話は聞き流してしまう事がある)


日蓮大聖人にしても「立正安国論」も主人と客の対話形式で綴られている。

会話はしばしばキャッチボールに喩えられる。会話も相互に相手に話題を投げ掛け、その返答を期待するものである。
このため会話は「相手が話題を返し易いよう、その内容を選ぶ」という性質を持つ。(専門家が専門用語で話をしていては、素人は会話に参加できない)

効果的な話(意思疎通)を確保する為には、「聞き手」になる事です。
片方が一方的に喋っていたり、お互いに相手の話題に関係なく自分の言いたい事を述べ合っていては「ラジオを複数台並べて、別々の番組を流している」のと大差がない。

自分が話を「する」事が会話だと思われがちだが、意思疎通(コミニュケーション)では「聞く」事の方が大事です。

聞き手が会話のやりとりを直接的には制御せずに、会話全体の責任を持つ事にあります。
会話・対話なので全員・双方が責任を持つと言う事です。

効果的な会話をするためには聞き手に導いてもらわなければなりません。
聞き手がこの責任を持つようにすると、意思疎通が成功する確率がとても大きくなります。

では、聞き手が導くとはどういった事か?

1.相手の話にうなずく、相槌を打つ(リアクション)。
欧米では会話でリアクションがないと、相手は聞いていないと認識するそうです。
2.相手の言っている事・相手の気持ちの二つを自分の言葉で要約し、相手に伝える事です。

例えば、
彼女:「今日は会社で大変な事があったんですよ」
貴方:「へー、大変だったんだ?」
彼女:「そうなんですよ!うちの課長がミスをして私がカバーしたんですよ」
貴方:「課長のミスをフォローしたの?」

このように相手の言葉を聞きそれを繰り返したり、要点をまとめフィードバックすることによって自分がちゃんと聞いているという事を相手に伝えることができるのです。

しかしながら、中には意思疎通が難しい場合があります。子供や高齢者、病人などで相手の理解力が乏しい場合です。

今度は話し手の工夫もしてみましょう。

1.ゆっくりした話し方をする。
話が解り辛いとき、ゆっくりと話すことが助けになります。
話の内容を把握する時間を与えるために、聞き手はいつもよりもゆっくりした話し方にすることが大切です。
内容のポイントとなる言葉や音声を強調することもよりよく理解してもらうための方法となり得ます。

2.話を繰り返す。
話をわかってもらうのに必要なのは、単に話を繰り返すことだったという場合もあります。
然し何度か繰り返しても結果が出ない時には、話し手と聞き手のどちらにもフラストレーションが溜まる前に、別の工夫をした方がよろしいでしょう。

3.別の言い回しをしてみる。
理解が促されない時に言い回しを変えてみるのも効果的な技術です。
同じ内容を伝えるのに、別の言葉や言い回しを考えてみることです。

4.単純化する。
要点は、言っていることを理解してもらうことにあります。
話し手が正しい文法や、長たらしく狭義の言葉の選択をすることはさほど重要ではありません。
ここにおいてのゴールは、言いたいことの意味を保ちながら言い方を単純化することにあります。
必要とあらば、(内容理解の)鍵となる言葉や、絵やそのものを使います。

5.キーワードを書いてみる。
話の中で使った1、2語を紙に書いてみせるのも理解を促すのに役立つ時があります。
話を書いてもよいし、或いは絵や文字盤を作ってそれを話し手が指差すという技術もあります。
ここでも又、要点はコミュニケーションにあり、正しい漢字を使うことにあるのではありません。

6.理解の鍵となる文字を見つける。
言葉の一番最初の文字を見つけ出すことだけで、言っていることが明瞭になるときもあります。

この様に聞き手・話し手では話し手の方が手段が多いので、大事に見られますが実際は聞き手が重要です。
認知症の人との意思疎通が難しいのと一緒です。

又これらの会話手段は直接対面での方法です。インターネットやメール・文章では難しい手段もあります。
「ゆっくり話す」なんてのは出来ませんからね。

ところが九思一言を重ねても、会話や意見交換で、話が噛み合わない場合がある。
なにが原因が整理しましょう。

1.話の主題・テーマが定まっていない。
会話で「言うぞ」と先走ってしまい、相手との主題が噛み合っていない場合。落ち着いて話しましょう。

2.用語の定義の認識が違う。
おなじ用語で話をしていても、用語の捉え方が違いかみ合わない場合。同じ「夢」でも「叶える物」と捉える人と「寝てる時に見る物」と捉える人がいる。

3.相手に対して先入観がある。
初めからこの人はこう言う人だ決めてかっかている場合。その人が言っていない事まで言っただろうと言う人がいる。

4.人それぞれ立場が違う。
学生、主婦、会社員、未婚者、既婚者などの個人的な立場、学者、政治家、公務員などの職業的な立場など個々人の立場が違えば意見の方向性が違うのは当然です。
(建設的な意見を言う人と否定的な意見を言う人など)

この様に前提条件がズレている場合もありますが、じっくり諦めずに語り合いましょう。
初めにも書いたとおり会話・対話は「話すことで共通の価値観を共有認識する」ことが大事です。
「そうか、こう言う意見・考えがあるのか」と相手を認める事(受容とも言う)が重要なのです。

また日蓮大聖人への嫉妬に狂って敵対した極楽寺良観は、対話を拒絶した臆病者であった。
その陰では卑劣な讒言によって、日蓮大聖人を陥れた人である。
良観は、日蓮大聖人が流罪地・佐渡に行かれる時は、「早く法論を」と虚勢を張ってみせた。
ところが、日蓮大聖人が鎌倉へ戻られると、門戸を固く閉ざしたり、風邪などと仮病を使って、対話から逃げ回ったのだ。
阿仏房尼御前御返事
「弥信心をはげみ給うべし、仏法の道理を人に語らむ者をば男女僧尼必ずにくむべし、よしにくまばにくめ法華経・釈迦仏・天台・妙楽・伝教・章安等の金言に身をまかすべし、如説修行の人とは是れなり」(P1308)
この御金言通り、どんなに憎まれ、悪口罵詈を浴びせられようとも、断じて恐れず、正義を語って、力強く語り抜く。
そして「悩める友を必ず幸せにしてみせる!」という一念を燃え上がらせ、執念の対話で、広宣流布を成し遂げてきたのが、尊き学会精神の真髄である。