2号被保険者 前倒しで見直しも


 社会保障審議会介護保険部会は十日、積み残しになっていた受給者・被保険者の拡大について意見書をまとめた。「拡大を目指すべき意見が多数だった」と拡大を容認しつつも根強い反対論に配慮し、実施時期を明記するにはいたらなかった。同省が当初目標としてきた06年度の実施は見送られたかたちだ。ただ、「普遍化」の一環として、意見書は現在は介護サービスが受けられない四〇歳以上のがん末期患者など制約の多い二号被保険者のサービスを前倒しで見直すべきと明記。部分的にはサービスの拡大が実施されることになりそうだ。与党内では公明党が09年度からの拡大に前向きだが、自民党内には若年者の負担増には強い反対意見がある。将来的な方向性をどこまで法案に盛り込むか今後、政府、与党内での調整が本格化する見込みだ。

 介護保険の被保険者を拡大し、介護ニーズがある人では誰でも利用できるようにすることについては、「破綻している支援費の救済策」と当初反発も強かったが、並行して進められてきた障害者福祉制度の見直しで、多様なサービスのうち介護部分だけを保険で賄うことなどが明らかになるにつれ少しずつ雰囲気は変わってきた。
 しかし、負担増となることへの現実的な懸念や、障害は地域保険になじまないなど原則論からの反対は最後まで変わらなかった。
 厚生労働省は、段階的に導入するなど妥協案を示したが、拡大の意欲をにじませつつも、反対意見に配慮して実施時期を意見書に盛り込むには至らなかった。介護保険法改正にあわせて06年度からの実施という目標自体が急ぎ過ぎの感は否めない。
 意見書では、「普遍化を目指すべきとする意見が多数」と拡大を容認したものの、実施時期については明確にせず、「09年度実施」「明確化すべきでない」の両論を併記した。

シルバー新報12月17日号より抜粋

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