“介護保険統合”への地ならし
個別給付は3種類
移動支援は重度者に限定
 支援費制度を見直し、これまで身体・知的・精神とバラバラの法律だった三障害の福祉サービスを同じ体系にする「障害者自立支援法案」の国会審議がいよいよ本格化する。


 改革の全体像と論点をまとめた。 サービス体系の再編 身体・知的・精神・児童と、これまで障害の種別ごとの法律で整備されてきた膨大なサービスメニューを再編し、基礎的な福祉サービスについては共通の枠組みで利用できるようにするのが今回の改革の最大のねらいだ。
 新たな給付体系では、給付の種類を一人ひとりの支援の度合いに応じて支給する「自立支援給付」と、地域の実情に応じて市町村が実施するメニュー事業「地域生活支援事業」に整理。前者についてはかかった費用に対して国の負担義務を新たに設けた。
 自立支援給付はさらに、基礎的な介護サービスにかかわる「介護給付」と、就労や機能訓練に関連する「訓練等給付」、そして精神障害の公費通院医療など基本的な医療系サービスをまとめた「自立支援医療」の三種類に分類されるが、それぞれの給付に位置付けられるサービスメニューについては三障害相乗りの効果が発揮できるよう、支援内容や機能に着目して大幅に再編する。
 例えばホームヘルプであれば重度の肢体不自由者向けのほか、さらに難病などで状態の変化に合わせた柔軟な対応を必要とする重度者については、さまざまな介護サービスが一体的に提供できる重度包括型も設ける。
 同様に、施設やグループホームなども障害者本人に着目して、サービスを再編する。これまでの知的・精神のグループホームではある程度自立した障害者が対象だったが、今後は重度者やさまざまな障害者が共同生活を送ることもできるようになると説明されている。
 施設入所者が他の施設のデイサービスや機能訓練を利用するといったことも可能だ。
 新たな事業体系については今月から実施する在宅・施設サービス事業者の経営実態調査の結果を踏まえて決める。障害者個別の状況に合わせたサービスが受けやすくするのがねらいだが、事業者にとっては事業のリセットと同じ。
 小規模作業所は地域支援事業に移行するケースが多いとも見られており、法成立後の運営基準ができるまで先行きは分からない。

シルバー新報5月16日号より抜粋

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