政府案修正
介護予防は3年後検証
被保険者、受給者 範囲拡大は付帯決議に

 衆議院厚生労働委員会は二十七日、介護保険法改正案について焦点になっていた介護予防の三年後の検証など二点について政府案を修正した上で、自民、公明、民主各党の賛成多数で可決した。民主党が修正を求めていた三項目のうち、被保険者・受給者の範囲について付則に「拡大」と方向性を明記する修正については与党が拒否したため、付帯決議で決着した。五月十日の衆院本会議で可決し、参院に送られる見通しだ。


 法案の修正は、法律の施行後三年をめどに、新たに創設する予防給付・地域支援事業の費用対効果などの検証を行う上で所要の措置をとることと、虐待の防止・早期発見のために権利擁護事業を地域支援事業の必須事業にすることの二点。いずれも民主党が求めていた。
 審議で焦点になってきたのは、新たに軽度者を対象に創設される介護予防サービスだ。これまで利用してきた家事援助やデイが引き続き利用できるのかどうか、新しい支給限度額がどの程度になるのかなど具体的な内容について政府が明らかにしないことから、予防の目玉とされてきた新サービスの筋力トレーニングの効果が追求され、昨年の市町村が行ったモデル事業でも一六%が状態が悪化、途中で中断したり、参加者集めに苦労していたりする実態を明らかにした。また、これまで補助金で行ってきた六五歳以上のヘルス事業などを保険財政も投入して行う地域支援事業については、かえって費用が膨らむのではないかといった問題が指摘されていた。
 最も懸念されていた家事援助サービスのカットについて尾辻大臣は「適切なマネジメントにもとづくサービスは認められる。独居や要介護者同士の夫婦が行えない家事援助は行うことができる」とした。このほか、軽度者の通所介護でも筋トレ以外のメニューも行えるようにする、予防サービスを強制しないことなどが確認されたが、かえって従来の介護給付との境界が判然としなくなった印象だ。
 付則に盛り込まれている、「被保険者・受給者の範囲」についての検討を「範囲の拡大」と方向性を明確にする修正は与党が拒否、付帯決議で決着した。このほか、医療・看護の小規模多機能化を念頭においた在宅療養の強化、地域包括支援センターの弾力的な設置形態を認めること、ケアマネジャーの質の向上と介護報酬の見直しなど四点が付帯決議に盛り込まれた。

シルバー新報4月29日号より抜粋

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