早期把握へ アセス項目の設定提言
地域保健研が報告書

 全国痴呆性高齢者グループホーム協会(全国GH協・木川田典彌代表理事)はこのほど、グループホームの空室などを利用して短期間、在宅の認知症高齢者を受け入れるモデル事業を行った結果を報告書にまとめた。冠婚葬祭や介護者のレスパイトなど緊急・臨時的なニーズに柔軟に対応できるサービスとして効果が認められたほか、利用者本人と入居者双方に自立度や生活意欲の向上なども表れたとしている。入居者の入院期間中も収入が確保できる点では事業者にとって経営面でのメリットも大きい。同協会では、介護保険で爆発的に数が増えたグループホームがこうした″多機能化″することによって地域で新たな社会資源となり得る可能性が見出せたとしており、厚生労働省に対し制度化の実現を求めていく方針だ。

入院時の空室活用
 経営にもメリット
 認知症グループホームは、施設のショートステイのように期間限定や日帰りでの利用形態は制度上認められていない。そのため環境の変化に弱い認知症高齢者がいきなり入居せざるを得ない問題も指摘されていた。同協会では、グループホームが制度改正で創設される地域密着型サービスとして位置付けられることを踏まえ、在宅で生活する認知症高齢者に対する新たな支援機能をアピールしていくねらいがある。
 モデル事業は今年一~三月にかけ、二三の会員事業所で実施。既存ユニットの一室を短期利用者専用とするタイプと、入居者が入院や長期外泊などで定員を満たさなくなった際に家族の宿泊や研修用の部屋などを一時的に活用して受け入れるタイプの二種類とした上で、三九人の在宅認知症高齢者に最大二週間を限度に利用してもらった。複数回の利用も含めると延べ利用回数は四八回。七割が要介護2以上、認知症高齢者日常生活自立度では八割強がⅡ以上だ。
 短期利用開始後の本人・入居者の変化についてみると、「利用者同士の会話」や「笑顔」、「食事の雰囲気の明るさ」などについてはいずれも「増えた」が六~七割に達している。一方、「落ち着きのない場面」「トラブル」「混乱」「生活の乱れ」などマイナス影響は七割以上で「増えなかった」という結果に。個別の事例について寄せられた事業所の意見では、「入居後は帰宅願望が続いていたが三、四日で落ち着き、自宅で問題としていた夜間のせん妄や排泄状況も良くなった」「二回目の利用の際は、スタッフの顔を見て″覚えている″と笑顔になった。混乱はなかった」など、個別対応ができる小規模ホームのメリットが発揮できたことがうかがえる例が多い。一方、入居者も短期利用者を疎外する様子はほとんどなく、逆に身だしなみを整えるようになったり、いつもより積極的に家事を手伝うようになるなど良い刺激となっている。さらに、いつも利用しているショートステイより、本人が容易に馴染めたと感じている家族の割合が高く八割近くに達しており、今後も積極的に利用したいという回答が六五%。高い評価を得た。


シルバー新報6月17日号より抜粋

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