2008/10/25  五重の相対 内外相対

1.内外相対
仏教を中心として一切の思想・宗教を判定するのですから、最初に、仏教と、それ以外の一切の思想・宗教を比較します。
仏教と仏教以外の宗教の最大の違いは何か?
それは、幸不幸の原因すなわち生命の因果を、自己の生命の中に求めるのか(内道)、それとも神や運命のような自己の生命以外に求めるのか(外道)、という点です。


生命の内と外の違いだから、仏教と仏教以外の宗教を比較することを「内外相対」といいます。
いうまでもなく、内道(仏法)が優れています。
開目抄 上
「外典・外道の四聖・三仙其の名は聖なりといえども実には三惑未断の凡夫・其の名は賢なりといえども実に因果を弁ざる事嬰児のごとし」(P188)

仏法(内道)は因果を説きます。人間の幸不幸に関わる因果を説きます。
どうすれば幸せ(成仏)と言う「果(結果)」をつかめるか「因(方法)」を説きます。

仏教以外の諸宗教(外道)はその因果を説かないか、説いても偏った因果観にとどまっています。
儒教・道教は、現世だけを見て、過去世・現在世・未来世の三世の因果を説きません。
インドの諸宗教(バラモン教など)には三世の因果を説くものもありますが、それは過去世の原因によって今世に得られる幸・不幸の結果(境涯)が決まっているという運命論・決定論にとどまっており、今世における変革の可能性は説きません。
輪廻と言う概念はバラモン教から入ってきたと思われますが、わずかに神などの力で、天に生まれ変わることができると説くに過ぎません。
十界の次元から考えれば、天(天界)を目指すのは外道です。だから、外道では六道(地獄から天界)輪廻してしまうのです。【類似:十界】
仏教以外の教えには、このほかに因果そのものを否定する説なども含めて、さまざまな因果説がありますが、いずれも偏った因果観であると言わざるをえません。

それに対して仏教(内道)では、人間の内面に変革の可能性がある事、今世の行いによって、苦悩を安心へ、不幸を幸福へと転換できることを説きます。