2009/10/10  初級・3級教学試験 「報恩抄」その1

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 まずは御書講義から。
背景と大意
 「報恩抄」は、日蓮大聖人が、道善房死去の知らせを受け、建治2年(1276年)7月、身延で著され、安房国(千葉県南部)の門下である浄顕房と義浄房(義城房)に送られた御書です。道善房は、大聖人が安房国の清澄寺で仏教を学んだ若き日に、師匠となった人物でした。大聖人は、この師匠の恩に報いるために、清澄寺時代に兄弟子であった浄顕房と義浄房に本抄を託され、道善房の墓前と嵩が森と呼ばれる場所で読むよう指示されたのです。
 本抄で大聖人は、人間としての根本の道は、「報恩」すなわち「恩に報いること」であると教えられています。では、どうすれば、本当の意味で「恩に報いること」ができるのでしょう。大聖人は、それには、真実の仏教によって恩ある人を救っていく以外にないと仰せになります。
 釈尊が説いた一切経の中で、最高の真実を伝える経典は、法華経です。ところが、仏教史において、諸宗の人師論師たちは、自らが依って立つ経典が法華経より勝れているという誤った主張を重ねてきました。日本では、伝教大師が法華経第一の正義を打ち立てましたが、その死後、背信の弟子たちが、真言の方が法華経に勝っているという邪義を唱えるようになりました。
 真言による祈祷は亡国の因です。大聖人は、身命をなげうって、この邪義を破折され、激しい大難に遭われました。本抄では、御自身の覚悟について、すべては、父母・師匠・国を救って、その恩に報いるためであったと明かされています。
 さらに続けて、末法に広まるぺき法は、法華経の肝心である南無妙法蓮華経であると示され、大聖人が、一人立ち上がって声も惜しまず唱えている南無妙法蓮華経は、大聖人の広大な慈悲によって、万年を超えて未来永遠に流布していくと述べられます。
 そして、妙法を広宣流布した功徳は、すべて師匠である道善房に集まっていくと結ばれるのです。

本文
 日本・乃至漢土・月氏一閻浮提に人ごとに有智無智をきらはず一同に他事をすてて南無妙法蓮華経と唱うべし、此の事いまだひろまらず一閻浮提の内に仏滅後二千二百二十五年が間一人も唱えず日蓮一人南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経等と声もをしまず唱うるなり、

通解
 日本から漢土(中国)、月氏(インド)、そして全世界において、仏法の智慧がある人と、そうでない人を分け隔てることなく、一人一人がみんな一緒に他の修行を捨てて、南無妙法蓮華経と唱えるべきである。
 このことは、いまだ広まっていない。全世界の中で、釈尊の入滅後、二千二百二十五年の間、一人も唱えなかったのである。ただ日蓮一人が、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経と、声も惜しまず唱えているのである。

解説
 現代に「報恩」と聞くと封建時代の遺物の様に響くかもしれません。
 しかし、人間の生が、他者の努力の恩恵を被りながらしか営めない以上、いつの時代でも、恩に報いることが人間にとって最も大切な徳目であることには変わりありません。

 「日本・乃至漢土~声もをしまず唱うるなり」まで
 試験範囲の冒頭は、本抄全体の結論部分です。
 日蓮大聖人は報恩の証しとして不惜身命で正法を弘通されました。
 その御一代の結論は、広宣流布の法体である三大秘法の南無妙法蓮華経に帰着します。
 日本、中国、インドと国を越えて、智慧のあるなしも関係なく、他の修行を捨てて、皆すべき修行は唱題行だと仰せです。
 これは唱題が普遍的な法だと断言しているのです。
 「声も惜まず」とは積極的な対話です、言いたい事を言わないのは惜んでいる事になります。
 仏法は不惜身命の実践者が居てこそ、民衆に広まるのです。

 皆さん、不惜身命と聞くと何を思い浮かべますか?
 文字通り、身を削って命を捨てて行く事でしょうか?
 それでは、自己満足かもしれませんよ。
 雪山童子の様に体を、羅刹に捧げるのとは違いますね。
 我々の不惜身命は、自分の時間を会員の為、友の為に使って弘教する事、自事ではなく他事だと思います。
 深夜に友人から、悩みの電話があった時、眠いからと電話を切りますか?
 真摯に話を聞いて、仏法対話になったりしたら立派な不惜身命ではないでしょうか?
 若しかしたら深夜に会いに行って、直接対話する事もあるでしょう。
 友人の為に唱題し、悩み、同苦する。自分の時間を他者に使って行く。
 そんな地道な事が、不惜身命に繋がって行くと思います。

22:00:00

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