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10/02/26: ステディカム(カメラスタビライザー)の作動原理と理想型
MiD LIGHT
ハンドクラフト
(
カメラスタビライザー
)
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】
前提
まず、前提としてジンバルを中心とした座標を(X0,Y0,Z0)とする。
ジンバルを前に置いて左右方向がX軸、前後方向がY軸、上下方向がZ軸。
X軸を中心とする運動を「頷(うなず)き運動、ピッチング (pitching) 」
Y軸を中心とする運動を「傾(かし)げ運動、ローリング (rolling) 」
Z軸を中心とする運動を「横回転運動、ヨーイング (yawing) 」
と定義する。
基点的にジンバル中心点に全体の重心があれば、全く動かない。
でも、実際には重心点が左右前後上下にあって傾く。
右に傾けば、ジンバル中心から見て右側(X+側)にある重心がシンバル中心点の真下に来ようとして右に傾く。
左に傾けば、左側(X-側)だ。
これは前後も同じで、前に傾くのは前(Y+側)に重心があるからだ。
静と動
つり合いには2種類ある。
テーブルなどに置いた状態でバランスする「静的バランス」と、運用時の振り回した時の「動的バランス」だ。
静的バランスは比較的取り易い。
ジンバル上側(Z+側)のカメラ側重心点(Zg)と、ジンバル下側(Z-側)の錘のカンウターウエイト側(Zg’)を比べた時に「Zg’」がより重ければ水平にはなる。
しかし、運用時の動的バランスは「慣性」が要件になって来る。
錘がより重いと
・何時までも揺れ続ける。
・錘の揺れ幅が大きい
などが顕著になる。
大事なのは動的バランスを同じにする事だ。
要するに「Zg」と「Zg’」の質量を同じにする事。
そうすれば運用時のカメラの乱れは起きにくい。
例えばカメラ側が1kgなら理想は錘は1kgにすれば一番良い。
そうするとカメラ重心点とジンバル、ジンバルと錘重心点の距離は必然的に1:1が理想になる。
実際には全く等距離にすると、外力で斜めになっても復帰しないので、ジンバルを少しカメラ側に置くと自動復帰する。
動的バランス
1m棒を横にして片端にカメラを1kg、もう片端に錘を1kgと想定する。
真ん中の50cmで持つとバランスが取れてて、静的にも動的にも動かし易い。
では、カメラ側20cmの部分を持って、錘を250gにしてみよう。
これでも静的にはバランスが取れているが、動かすとカメラ側が慣性で動かないので錘側が大きく動く事になる。
これを縦にしても同じ事が当然に起きる。
棒の中心を持った形が「フライカム・グライドカム型」だし、全体の仮想重心近くにジンバルを持って来たのが「マーリン型」になる。
グライドカム型なら容易に1:1のバランスが取れる(ジンバル位置を真ん中にする為ウエイト側が伸縮する)が、マーリン型は途中に弓の角度調整機能が必要になる。
また、錘がジンバルの後ろに来ない様に調整する。
その点、ステディカムのマーリンは良く出来ているなぁと感心する。(偉そうだな(゜゜;)\(--;)ォィォィ)
私が制作した塩ビ製マーリンは、全体で1270g
錘が310g、カメラ約330g(XactiCA65+ワイコン込み)で本体が約630g
重心距離はカメラ~ジンバル間が約15cmでジンバル~錘間が約22cm。1:1.466の比率。
もっと大型化や、1:1化をすれば良いのだろうが携帯性や運用性(重いと長時間の撮影がツライ…。)が犠牲になる。
また、マーリン型は前後が非対称なので、横回転運動を起し易い。
前後、左右の慣性質量が同じにするのが難しい形ですね。
どうやったら水平になるのか?
グライドカム型であれ、マーリン型であれ、必ず重心点が「Zg~ジンバル~Zg’」と通過する。
安定した状態では垂直方向のZ軸に於てカメラ、錘共にX0,Y0に揃うと言う事。
(安定とは、振り回した時に横回転運動をしない状態)
上下のバランスが安定した時にカメラ台が水平で無いのは、カメラの重心がジンバルZ中心線上に無いからだ。
何かしらY±αになっている。
Yが+ならばカメラ台は上を向くし、-ならば下を向く。
そこで必要なのはケンコーも商品化している
『X.Yフォ-カシングレール』
等でジンバルZ軸上にカメラ重心を持って来る必要がある。
カメラ側の重心がジンバル上に来れば、必然的に錘側も重心がジンバル真下に来る事になる。
総括
上記を踏まえ、理想のステディカム(カメラスタビライザー)を考える。
・ジンバルから1:1の距離にカメラ、錘がある。
・左右、前後、上下は対称性(シンメトリー)である。
・ジンバルのZ軸線に必ず重心が来る。
・そのZ軸上で重心の移動、調整が出来る。
・風や振動に対抗する為、ある程度の重さが必要。
理想型その1(フライカム・グライドカム型)
■ ←カメラ
┃
┃
┣ ←ジンバル(少しだけ上側に配置する)
┃
┃
■ ←錘
カメラ、錘ともカバーを掛けて風の影響を同じにする。
やはり、理想型ですね。
理想型その2(クレーン型?)
┏ ←ジンバル(中心でつり下げる)
■━━┻━━■
↑カメラ ↑錘
カメラ部分にジンバルを付けて常に水平を保てば、ステディカムとクレーンの共使いが出来る。
映画器材であるよね。
以上の様な形が理想だと思う。(当たり前か(笑))
運用、調整、汎用性を考えるとフライカム・グライドカム型が一番でしょうか?
現在、フライカム・グライドカム型を試作中ですが、調整はマーリン型より楽ですね。
どんなにジンバルに重心を近づけても頷き傾げ横回転はしますね。
比較的、外力に抵抗出来るか? また反するパンやチルトが容易であるか? も、ありますね。
何にしてもオペレートの練習は絶対に必要なんですが…。(^^;
以上、拙い考察でした。
00:00:00
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10/02/26: ステディカム(カメラスタビライザー)の作動原理と理想型
MiD LIGHT ハンドクラフト ( カメラスタビライザー )まず、前提としてジンバルを中心とした座標を(X0,Y0,Z0)とする。
ジンバルを前に置いて左右方向がX軸、前後方向がY軸、上下方向がZ軸。
X軸を中心とする運動を「頷(うなず)き運動、ピッチング (pitching) 」
Y軸を中心とする運動を「傾(かし)げ運動、ローリング (rolling) 」
Z軸を中心とする運動を「横回転運動、ヨーイング (yawing) 」
と定義する。
基点的にジンバル中心点に全体の重心があれば、全く動かない。
でも、実際には重心点が左右前後上下にあって傾く。
右に傾けば、ジンバル中心から見て右側(X+側)にある重心がシンバル中心点の真下に来ようとして右に傾く。
左に傾けば、左側(X-側)だ。
これは前後も同じで、前に傾くのは前(Y+側)に重心があるからだ。
静と動
つり合いには2種類ある。
テーブルなどに置いた状態でバランスする「静的バランス」と、運用時の振り回した時の「動的バランス」だ。
静的バランスは比較的取り易い。
ジンバル上側(Z+側)のカメラ側重心点(Zg)と、ジンバル下側(Z-側)の錘のカンウターウエイト側(Zg’)を比べた時に「Zg’」がより重ければ水平にはなる。
しかし、運用時の動的バランスは「慣性」が要件になって来る。
錘がより重いと
・何時までも揺れ続ける。
・錘の揺れ幅が大きい
などが顕著になる。
大事なのは動的バランスを同じにする事だ。
要するに「Zg」と「Zg’」の質量を同じにする事。
そうすれば運用時のカメラの乱れは起きにくい。
例えばカメラ側が1kgなら理想は錘は1kgにすれば一番良い。
そうするとカメラ重心点とジンバル、ジンバルと錘重心点の距離は必然的に1:1が理想になる。
実際には全く等距離にすると、外力で斜めになっても復帰しないので、ジンバルを少しカメラ側に置くと自動復帰する。
動的バランス
1m棒を横にして片端にカメラを1kg、もう片端に錘を1kgと想定する。
真ん中の50cmで持つとバランスが取れてて、静的にも動的にも動かし易い。
では、カメラ側20cmの部分を持って、錘を250gにしてみよう。
これでも静的にはバランスが取れているが、動かすとカメラ側が慣性で動かないので錘側が大きく動く事になる。
これを縦にしても同じ事が当然に起きる。
棒の中心を持った形が「フライカム・グライドカム型」だし、全体の仮想重心近くにジンバルを持って来たのが「マーリン型」になる。
グライドカム型なら容易に1:1のバランスが取れる(ジンバル位置を真ん中にする為ウエイト側が伸縮する)が、マーリン型は途中に弓の角度調整機能が必要になる。
また、錘がジンバルの後ろに来ない様に調整する。
その点、ステディカムのマーリンは良く出来ているなぁと感心する。(偉そうだな(゜゜;)\(--;)ォィォィ)
私が制作した塩ビ製マーリンは、全体で1270g
錘が310g、カメラ約330g(XactiCA65+ワイコン込み)で本体が約630g
重心距離はカメラ~ジンバル間が約15cmでジンバル~錘間が約22cm。1:1.466の比率。
もっと大型化や、1:1化をすれば良いのだろうが携帯性や運用性(重いと長時間の撮影がツライ…。)が犠牲になる。
また、マーリン型は前後が非対称なので、横回転運動を起し易い。
前後、左右の慣性質量が同じにするのが難しい形ですね。
どうやったら水平になるのか?
グライドカム型であれ、マーリン型であれ、必ず重心点が「Zg~ジンバル~Zg’」と通過する。
安定した状態では垂直方向のZ軸に於てカメラ、錘共にX0,Y0に揃うと言う事。
(安定とは、振り回した時に横回転運動をしない状態)
上下のバランスが安定した時にカメラ台が水平で無いのは、カメラの重心がジンバルZ中心線上に無いからだ。
何かしらY±αになっている。
Yが+ならばカメラ台は上を向くし、-ならば下を向く。
そこで必要なのはケンコーも商品化している『X.Yフォ-カシングレール』等でジンバルZ軸上にカメラ重心を持って来る必要がある。
カメラ側の重心がジンバル上に来れば、必然的に錘側も重心がジンバル真下に来る事になる。
総括
上記を踏まえ、理想のステディカム(カメラスタビライザー)を考える。
・ジンバルから1:1の距離にカメラ、錘がある。
・左右、前後、上下は対称性(シンメトリー)である。
・ジンバルのZ軸線に必ず重心が来る。
・そのZ軸上で重心の移動、調整が出来る。
・風や振動に対抗する為、ある程度の重さが必要。
理想型その1(フライカム・グライドカム型)
■ ←カメラ
┃
┃
┣ ←ジンバル(少しだけ上側に配置する)
┃
┃
■ ←錘
カメラ、錘ともカバーを掛けて風の影響を同じにする。
やはり、理想型ですね。
理想型その2(クレーン型?)
┏ ←ジンバル(中心でつり下げる)
■━━┻━━■
↑カメラ ↑錘
カメラ部分にジンバルを付けて常に水平を保てば、ステディカムとクレーンの共使いが出来る。
映画器材であるよね。
以上の様な形が理想だと思う。(当たり前か(笑))
運用、調整、汎用性を考えるとフライカム・グライドカム型が一番でしょうか?
現在、フライカム・グライドカム型を試作中ですが、調整はマーリン型より楽ですね。
どんなにジンバルに重心を近づけても頷き傾げ横回転はしますね。
比較的、外力に抵抗出来るか? また反するパンやチルトが容易であるか? も、ありますね。
何にしてもオペレートの練習は絶対に必要なんですが…。(^^;
以上、拙い考察でした。
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