2009/11/09  初級・3級教学試験 「兄弟抄」(下)その2

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 前回の御書講義続き。

本文
 之に随えば将に人をして悪道に向わしむと申すは只三悪道のみならず人天九界を皆悪道とかけり、されば法華経を除きて華厳・阿含・方等・般若・涅槃・大日経等なり、天台宗を除きて余の七宗の人人は人を悪道に向わしむる獄卒なり、天台宗の人人の中にも法華経を信ずるやうにて人を爾前へやるは悪道に人をつかはす獄卒なり

通解
 「これに随うならば、必ず人を悪道に向かわせる」(摩訶止観)というのは、ただ地獄界・餓鬼界・畜生界の三悪道だけではなく、人界や天界、そして仏界以外の九界をすべて悪道と書いているのである。それゆえ、法華経を除いて華厳経・阿含経・方等経・般若経・涅槃経・大日経などが、これに当たるのである。天台宗を除いて、他の七宗の人々は、人を悪道に向かわせる地獄の鬼である。天台宗の人々のなかでも、法華経を信じているようにみえて、実は人を法華経以前の教えへと向かわせる者は、やはり人を悪道に追いやる地獄の鬼なのである。

解説
 大聖人は再び、「摩訶止観」の「之に随えば将に人をして悪道に向わしむ」の文を引かれます。
 人々を三障四魔によって悪道に堕としていくのは、悪知識である諸宗の悪僧たちです。そうした輩は、三悪道へ、爾前経の九界へと人々を向かわせる「獄卒」にほかならないと喝破されています。
 この建治年間、大聖人はいよいよ、日本中の法華経謗法の根本の因を作った天台座主の慈覚・智証に対して、破折の舌鋒を鋭くされていきます。法華経を守るべき彼らが、自宗に真言を取り入れ、「法華経をころす人」(1081ページ)となってしまった。
 毒気深入の一国謗法と化した時代に、いわば「敵前上陸」して、人々が智者としてよりどころとしている僧を「根源の悪」として責めるのです。「仏と魔王との合戦にも・をとるべからず」(313ページ)との原理のままに、三障四魔が激しく出来するのは必然です。
 その矢面に立つ日蓮大聖人と共に立ち上がっているのが、池上兄弟をはじめとする真正の弟子たちです。大聖人は、「正義」を弘める師弟の「共戦」をあらためて強く呼びかけられていると拝されます。


 弱気になって三障四魔に従ってしまうと、あっと言う間に三悪道に堕ちてしまいます。
 同じ法華経の天台宗でも獄卒になってしまうほど、小さな差ですが、結果は大きな差になるのです。

本文
今二人の人人は隠士と烈士とのごとし一もかけなば成ずべからず(中略)此の法門のゆへには設ひ夫に害せらるるとも悔ゆる事なかれ、一同して夫の心をいさめば竜女が跡をつぎ末代悪世の女人の成仏の手本と成り給うべし、此くの如くおはさば設ひいかなる事ありとも日蓮が二聖二天十羅刹釈迦多宝に申して順次生に仏になしたてまつるべし

通解
 今、あなたがた二人の兄弟は、隠士と烈士のようである。一人でも欠けるならば、仏道を成就することはできない。(中略)
 この法門のためには、たとえ夫から害を受けるようなことがあっても後悔してはならない。御夫人がたが心を合せて夫の信心を諫めるならば、二人は竜女の跡を継ぎ、末法悪世の女性たちの成仏の手本となることであろう。このように振る舞われるならば、たとえどのようなことがあっても、日蓮が、二聖・二天・十羅刹女・釈迦・多宝に申し上げ、次の世には、かならず成仏の境涯を得させるであろう。

解説
 魔性と戦う信心の要諦は、「師弟不二」と「異体同心」です。
 魔は分断を企みます。今回の勘当事件も、父親が兄弟二人を同時に勘当するのであれば、親と子の信仰上の軋轢であり、誤解がとければ解決する問題であると言えます。しかし、兄を勘当して、弟に家督相続を誘惑する。この事件は明らかな離間策であり、まさに第六天の魔性の働き以外なにものでもありません。
 魔を打ち破ることのできるのは、「善の連帯」しかありません。
 さらに大聖人は、兄弟の夫人たちにも、勇気ある信心を貫き通すべきことを御指導されます。
 いざという時、女性の信心がどれほど大切か。深く拝すべき御文です。そのうえで、一家和楽の信心を築くにあたって、焦る必要は全くありません。ただ一人でも妙法を持つことは、家族・一族全員を照らす太陽が昇ったのと同じです。その功徳は、眷属全員に及びます。大切なのは、「全員を幸せにしてみせる」という祈りであり確信です。
 大聖人は、「物に随って物を随える身なり」(1088ページ)、「一同して夫の心をいさめば」と仰せられております。夫人たちが聡明に毅然たる信心を貫けば、魔を必ず破り、家族一同に成仏の大境涯をあらわすことができると励まされているのです。兄弟の父が遂に正法に帰依できた陰には、大聖人の御指導通りに振る舞う夫人たちの賢い支えがあったことも拝察されます。


 団結が大事と判っていても、馬が合わなかったりするでしょう。見栄やプライドが邪魔をするかもしれません。でも信心根本の団結の前には些細な事です。よくよく話し合いましょう。

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