2008/12/18 うつ病にならない為に。
現代の社会はストレス社会です。
周りに翻弄され自分を見失う時があります。
そこで、今、自分がどの様な状況か?
自分の判断が合っているか?
認知の歪みをチェックしましょう。
臨床心理学の認知療法の理論によって、気分障害(うつ病等気分の変調を主症状とする病態)の抑うつ感の生起を説明する場合に必要不可欠になってくる図式は、『外界の事象→認知(思考)→感情・気分→行動』という行動メカニズムの図式です。
自然的事実や客観的な出来事が、そのまま気分・感情・行動に影響して、憂うつ感や無気力、不安感、焦燥感や自己破壊的な不適応行動を生み出すのではなく、自分の価値を低めて、悲観的で絶望的な予期や判断をする“自動思考”や自動思考を支える“認知の歪み”が不快で苦痛な結果を生み出しているというのがアルバート・エリスやデビッド・D・バーンズの考え方です。
デビッド・D・バーンズが、理論的研究や臨床的実践の中で発見し、そのエッセンスを抽出した“認知の歪み(推論の誤謬)”には、以下の十種類があります。
この認知の歪みが、自分自身を無価値化して無力化し、あらゆる物事に対する意欲や積極性を剥奪する“自動思考”を生み出す原因となり、うつ病の症状や耐えがたい不快な感情・気分を発生させます。
認知理論が、自然科学的な脳機能と心を同一視する精神医学の流れに与えた最大の衝撃とは、『うつ病を自分自身で克服しようとする決意と認知理論に準拠した努力が有意義である』ことが統計学的根拠によって実証されたことでした。
1. 全か無か思考(all-or-nothing thinking)
ほとんどの問題は, 白か黒かのどちらかに決めることはできず、事実はそれらの中間にあるものですが、物事を見るときに、「白か黒か」という両極端の見方をしてしまうことを「全か無か思考」といいます。
<例>世の中には勝ち組と負け組みしかいないんだ。負け組みだったら生きている意味がないよ。
<例>自分のやった仕事に少しの欠点が見つかって、「完全な失敗だ」と思う。
いつもAをとっている学生がたまたまBをとって,「もう完全にだめだ」と考える。
このような考え方をすると、「完全に○○である」ということは実際にはありえないのに、いきすぎた自分の要求に自らをあわせようとしていることになります。これは無理なことなので、失敗して自信を失うことになります。
日本でも古くから「中庸」ということばが尊ばれてきましたが、「白か黒か」という両極端の見方をせずに、柔軟にものを見ることが大切です。普段は柔軟な見方ができている人でも、ストレスがかかった状況が長く続くと、往々にしてこのような硬直した考え方に陥りがちになります。そしてこのことにより、一層ストレスがかかったり、気分が暗くなったりして、悪循環になりかねません。「いつも~である」、「完全に~である」、「決して~でない」といった考え方を頻繁にしてないか、一度、自分の思考パターンをふりかえってみてください。
2.一般化のしすぎ(overgeneralization)
1つの良くない出来事があると,「いつも決まってこうだ」、「うまくいったためしがない」などと考えること。
<例>またフラれたよ。ハハ、俺はもう一生童貞確定だな。死にてえ。
<例>ある若い男性が、好意を寄せている女性に一度デートを申しこんで断られただけなのに、「いつもこうだ。自分は決して女性とつきあうことなんかできない」と考える。
このような考え方をすると、いやなことが繰り返し起こっているように感じてしまうので、憂うつになってしまいます。
3. 心のフィルター(mental filter)
1つの良くないことにこだわってくよくよ考え、他のことはすべて無視してしまうこと。ちょうど1滴のインクがコップ全体の水を黒くしてしまうように。「心のサングラス」ともいう。
<例>(5科目中4科目が100点なのに)国語80点・・・ダメだ。こんなんじゃ絶対落第だ。
<例>会社である企画を提案し、一般の評価はたいへんよいのに、ある人から受けた些細な批評が頭から離れず悩む。
このような思考パターンに陥ると、なにごともネガティブにみてしまうので、気分は、当然暗くなります。
4.マイナス化思考(disqualifying the positive)
単によいことを無視するだけでなく、なんでもないことやよい出来事を悪い出来事にすり替えてしまうこと。
<例>最近上司が妙に優しいのは、俺がリストラ候補に挙がってるからだ。
<例 >自分は能力がないと考えている人が、仕事がうまくいっても「これはまぐれだ」と考える(このような考え方をする人は、仕事がうまくいかないときは、「やっぱり、自分はダメなんだ」と考える)。
「心のフィルター」は、ある出来事の肯定的な側面を無視することをいいますが、「マイナス化思考」は肯定的な側面の価値を引き下げることになり、いっそう悪い認知の歪みのパターンということができます。
5. 結論の飛躍(jumping to conclusion)
根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう
a. 心の読みすぎ(mind reading):ある人が自分に悪く反応したと早合点してしまうこと
<例>俺のこの根暗な性格は一生直らないな。
<例>会社の上司に仕事の経過を報告したが、上司はあまり関心をはらってくれない、むしろそっけない態度のように思え、「この頃、自分は上司に嫌われている」と考えた。(上司は、例えば、より急ぐべき案件に心を奪われていただけかもしれない。)
b. 先読みの誤り(the fortune teller error):事態は確実に悪くなると決めつけること
<例>食事に誘ったのに断られたのは、俺が嫌われてるからだ。
<例>「この病気は決してなおらない」と考える。(うつ病になるとこのような考え方に陥ることがよくあります。)
6. 誇大視と過小評価(magnification and minimization)
自分の短所や失敗を過大に考え,逆に長所や成功したことを過小評価する。「双眼鏡のトリック」とも言う。
<例>学歴があっても、太ってるから仕事も恋愛も何もかもうまくいかない。痩せてさえいれば俺の人生バラ色だったのに。
<例>些細なミスをおかして、「なんてことだ。これですべて台無しだ」と考える。(この例では、失敗の意味を過大に考えているので「誇大視」といえる。些細な失敗を犯したことで今までのことが100%の失敗になると考えているとすれば、「全か無か思考」ともいえる。このように「認知の歪み」のパターンは互いに重なりあっている場合も多く、いつもどれか一つの分類だけにあてはまるわけではない。)
7. 感情的決めつけ(emotional reasoning)
自分の感情が現実をリアルに反映して、事実を証明する証拠であるかのように考えてしまうこと。
<例>「不安だ。こんなに不安を感じるってことは明日の商談は失敗するに違いない。」
感情的決めつけは、ネガティブな思考、感情が前面に出てきていて、ポジティブな思考、感情が後退しているような場面で生じやすい「認知の歪み」のパターンであることを考えれば、「心のフィルター」と密接な関係を持つことが分かります。
8. すべき思考(should thinking)
何かやろうとする時に「~すべき]「~すべきでない」と考える。
<例>俺は常にトップの成績でなければならないんだ。
<例>「あの時、父親は怒るべきではなかった。」
「第二次世界大戦はおこってはならなかった。」(→第二次世界大戦はおこるべきではなかった。物事の好き嫌いは別として、おこったことは現実として受け入れることが大切です。)
何かをやろうとするときに、常に「~すべき」「~すべきでない」と考えると、その基準に合わせようとして自分自身を追い詰めることになります。
できなかった場合は、あたかも自分が罰せられたように感じて、自己嫌悪に陥ったり、暗い気分になりやすいのです。「すべき思考」を他人に向けると、他人の価値基準とは往々にして合いませんから、イライラや怒りを感じることになります。
9. レッテル貼り(labeling and mislabeling)
ミスを犯した時に,「自分は敗北者だ」、「とんまもの!」などと自分にネガティブなレッテルを貼ってしまうこと。
<例>また面接落ちか・・・。ホント俺はどうしようもない負け犬だな。
レッテル貼りは、「一般化のしすぎ]が極端な形で現れたものです。レッテル貼りをすると、感情に巻き込まれて冷静な判断ができなくなります。
10. 自己関連づけ(personalization)
何か良くないことが起こった時、自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまうこと。
<例>彼女が自殺したのは、俺が彼女の気持ちに気付いてあげられなかったせいだ。
<例>断酒できない夫を前にして、「自分はダメな妻だ。夫が酒をやめることができないのは自分の責任だ」と考える。
他人に100%の影響を及ぼすことは不可能です。よくないことがおこった場合、それを自分の責任と考えるよりは、どうすれば問題を解決できるのかを考えるほうが健全で大切なことなのです。「自己関連づけ」の思考パターンを繰り返すと、罪の意識を感じることになり、その結果自己評価が低下してしまいます。
10項目ありますが、自分の思考パターンが判れば対処のしようもあります。
マイナスのスパイラルに陥らない様に、心の充電をしましょうね。
17:08:27
周りに翻弄され自分を見失う時があります。
そこで、今、自分がどの様な状況か?
自分の判断が合っているか?
認知の歪みをチェックしましょう。
デビッド・D・バーンズの認知の歪みの定義
臨床心理学の認知療法の理論によって、気分障害(うつ病等気分の変調を主症状とする病態)の抑うつ感の生起を説明する場合に必要不可欠になってくる図式は、『外界の事象→認知(思考)→感情・気分→行動』という行動メカニズムの図式です。
自然的事実や客観的な出来事が、そのまま気分・感情・行動に影響して、憂うつ感や無気力、不安感、焦燥感や自己破壊的な不適応行動を生み出すのではなく、自分の価値を低めて、悲観的で絶望的な予期や判断をする“自動思考”や自動思考を支える“認知の歪み”が不快で苦痛な結果を生み出しているというのがアルバート・エリスやデビッド・D・バーンズの考え方です。
デビッド・D・バーンズが、理論的研究や臨床的実践の中で発見し、そのエッセンスを抽出した“認知の歪み(推論の誤謬)”には、以下の十種類があります。
この認知の歪みが、自分自身を無価値化して無力化し、あらゆる物事に対する意欲や積極性を剥奪する“自動思考”を生み出す原因となり、うつ病の症状や耐えがたい不快な感情・気分を発生させます。
認知理論が、自然科学的な脳機能と心を同一視する精神医学の流れに与えた最大の衝撃とは、『うつ病を自分自身で克服しようとする決意と認知理論に準拠した努力が有意義である』ことが統計学的根拠によって実証されたことでした。
1. 全か無か思考(all-or-nothing thinking)
ほとんどの問題は, 白か黒かのどちらかに決めることはできず、事実はそれらの中間にあるものですが、物事を見るときに、「白か黒か」という両極端の見方をしてしまうことを「全か無か思考」といいます。
<例>世の中には勝ち組と負け組みしかいないんだ。負け組みだったら生きている意味がないよ。
<例>自分のやった仕事に少しの欠点が見つかって、「完全な失敗だ」と思う。
いつもAをとっている学生がたまたまBをとって,「もう完全にだめだ」と考える。
このような考え方をすると、「完全に○○である」ということは実際にはありえないのに、いきすぎた自分の要求に自らをあわせようとしていることになります。これは無理なことなので、失敗して自信を失うことになります。
日本でも古くから「中庸」ということばが尊ばれてきましたが、「白か黒か」という両極端の見方をせずに、柔軟にものを見ることが大切です。普段は柔軟な見方ができている人でも、ストレスがかかった状況が長く続くと、往々にしてこのような硬直した考え方に陥りがちになります。そしてこのことにより、一層ストレスがかかったり、気分が暗くなったりして、悪循環になりかねません。「いつも~である」、「完全に~である」、「決して~でない」といった考え方を頻繁にしてないか、一度、自分の思考パターンをふりかえってみてください。
2.一般化のしすぎ(overgeneralization)
1つの良くない出来事があると,「いつも決まってこうだ」、「うまくいったためしがない」などと考えること。
<例>またフラれたよ。ハハ、俺はもう一生童貞確定だな。死にてえ。
<例>ある若い男性が、好意を寄せている女性に一度デートを申しこんで断られただけなのに、「いつもこうだ。自分は決して女性とつきあうことなんかできない」と考える。
このような考え方をすると、いやなことが繰り返し起こっているように感じてしまうので、憂うつになってしまいます。
3. 心のフィルター(mental filter)
1つの良くないことにこだわってくよくよ考え、他のことはすべて無視してしまうこと。ちょうど1滴のインクがコップ全体の水を黒くしてしまうように。「心のサングラス」ともいう。
<例>(5科目中4科目が100点なのに)国語80点・・・ダメだ。こんなんじゃ絶対落第だ。
<例>会社である企画を提案し、一般の評価はたいへんよいのに、ある人から受けた些細な批評が頭から離れず悩む。
このような思考パターンに陥ると、なにごともネガティブにみてしまうので、気分は、当然暗くなります。
4.マイナス化思考(disqualifying the positive)
単によいことを無視するだけでなく、なんでもないことやよい出来事を悪い出来事にすり替えてしまうこと。
<例>最近上司が妙に優しいのは、俺がリストラ候補に挙がってるからだ。
<例 >自分は能力がないと考えている人が、仕事がうまくいっても「これはまぐれだ」と考える(このような考え方をする人は、仕事がうまくいかないときは、「やっぱり、自分はダメなんだ」と考える)。
「心のフィルター」は、ある出来事の肯定的な側面を無視することをいいますが、「マイナス化思考」は肯定的な側面の価値を引き下げることになり、いっそう悪い認知の歪みのパターンということができます。
5. 結論の飛躍(jumping to conclusion)
根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう
a. 心の読みすぎ(mind reading):ある人が自分に悪く反応したと早合点してしまうこと
<例>俺のこの根暗な性格は一生直らないな。
<例>会社の上司に仕事の経過を報告したが、上司はあまり関心をはらってくれない、むしろそっけない態度のように思え、「この頃、自分は上司に嫌われている」と考えた。(上司は、例えば、より急ぐべき案件に心を奪われていただけかもしれない。)
b. 先読みの誤り(the fortune teller error):事態は確実に悪くなると決めつけること
<例>食事に誘ったのに断られたのは、俺が嫌われてるからだ。
<例>「この病気は決してなおらない」と考える。(うつ病になるとこのような考え方に陥ることがよくあります。)
6. 誇大視と過小評価(magnification and minimization)
自分の短所や失敗を過大に考え,逆に長所や成功したことを過小評価する。「双眼鏡のトリック」とも言う。
<例>学歴があっても、太ってるから仕事も恋愛も何もかもうまくいかない。痩せてさえいれば俺の人生バラ色だったのに。
<例>些細なミスをおかして、「なんてことだ。これですべて台無しだ」と考える。(この例では、失敗の意味を過大に考えているので「誇大視」といえる。些細な失敗を犯したことで今までのことが100%の失敗になると考えているとすれば、「全か無か思考」ともいえる。このように「認知の歪み」のパターンは互いに重なりあっている場合も多く、いつもどれか一つの分類だけにあてはまるわけではない。)
7. 感情的決めつけ(emotional reasoning)
自分の感情が現実をリアルに反映して、事実を証明する証拠であるかのように考えてしまうこと。
<例>「不安だ。こんなに不安を感じるってことは明日の商談は失敗するに違いない。」
感情的決めつけは、ネガティブな思考、感情が前面に出てきていて、ポジティブな思考、感情が後退しているような場面で生じやすい「認知の歪み」のパターンであることを考えれば、「心のフィルター」と密接な関係を持つことが分かります。
8. すべき思考(should thinking)
何かやろうとする時に「~すべき]「~すべきでない」と考える。
<例>俺は常にトップの成績でなければならないんだ。
<例>「あの時、父親は怒るべきではなかった。」
「第二次世界大戦はおこってはならなかった。」(→第二次世界大戦はおこるべきではなかった。物事の好き嫌いは別として、おこったことは現実として受け入れることが大切です。)
何かをやろうとするときに、常に「~すべき」「~すべきでない」と考えると、その基準に合わせようとして自分自身を追い詰めることになります。
できなかった場合は、あたかも自分が罰せられたように感じて、自己嫌悪に陥ったり、暗い気分になりやすいのです。「すべき思考」を他人に向けると、他人の価値基準とは往々にして合いませんから、イライラや怒りを感じることになります。
9. レッテル貼り(labeling and mislabeling)
ミスを犯した時に,「自分は敗北者だ」、「とんまもの!」などと自分にネガティブなレッテルを貼ってしまうこと。
<例>また面接落ちか・・・。ホント俺はどうしようもない負け犬だな。
レッテル貼りは、「一般化のしすぎ]が極端な形で現れたものです。レッテル貼りをすると、感情に巻き込まれて冷静な判断ができなくなります。
10. 自己関連づけ(personalization)
何か良くないことが起こった時、自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまうこと。
<例>彼女が自殺したのは、俺が彼女の気持ちに気付いてあげられなかったせいだ。
<例>断酒できない夫を前にして、「自分はダメな妻だ。夫が酒をやめることができないのは自分の責任だ」と考える。
他人に100%の影響を及ぼすことは不可能です。よくないことがおこった場合、それを自分の責任と考えるよりは、どうすれば問題を解決できるのかを考えるほうが健全で大切なことなのです。「自己関連づけ」の思考パターンを繰り返すと、罪の意識を感じることになり、その結果自己評価が低下してしまいます。
10項目ありますが、自分の思考パターンが判れば対処のしようもあります。
マイナスのスパイラルに陥らない様に、心の充電をしましょうね。
17:08:27