2009/02/05  政治というか経済の話。

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今、自民党で取りざたされている「政府紙幣」の話。
政府紙幣とは「政府」が直接発行し通貨としての強制通用力を与えられた紙幣のこと。
同じ物として1~500円までの「政府硬貨」がある

紙で出来てる「紙幣」は日本銀行発行で、金属の「硬貨」は政府発行です。
皆、知ってた?

現在、発行されて流通している「政府貨幣」の総額は4兆3千億円前後であるが、それは、政府の負債勘定には計上されてはいない。
その発行額(額面価額)から原料費や加工費などの造幣コストを差し引いた差額としての正味の造幣益は、政府の財政収入として一般会計に繰り入れられている。(「貨幣発行益(シニョレッジ=seignorage)」の事)

要は高額硬貨(紙幣)の発行をしようと言う訳で、これなら現行法の改正は要らない。
1929(昭和4)年の世界恐慌でもルーズベルトが33年に政府紙幣の発行をしているし、日本でも53年まで発行していた。
デフレギャップの大きい日本ならではの政府紙幣案。

ノーベル賞経済学賞受賞の経済学者のジョセフ・E・スティグリッツは2003年4月16日に、国の諮問機関である関税・外国為替等審議会の専門部会で、日本の財務省に対してこう言った。
政府紙幣の発行を提言したいと思います。
少なくとも、議論に値する考え方だと思われます。
「政府紙幣の発行を始めれば、ハイパーインフレを招かないか」と質問される方がおられるでしょう。
日銀と財務省の適切な政策についての私の観察では、たとえ政府紙幣の発行を始めたとしても印刷機のスピードをただ速めるようなことはしない(=緩やかでない増刷はしない)と確信しています。
(政府紙幣を)緩やかに増発すればハイパーインフレを引き起こすことはありません。
債務ファイナンスの場合には、(中略)債務を借り替える必要があります。しかし、政府紙幣を発行した場合にはその必要はありません。
 第2の利点として、会計上の枠組みにおいて政府の債務の一部として計上されないことが指摘できます(=政府の格付けも下がらない)。
日本政府の債務負担が増えないようにするために、伝統的な考え方とは異なる考え方を提言しています。
物の価値が安くなって薄利多売でも利益が出ない現状ではインフレ方向に持って行く紙幣発行はやりすぎなければ有効な手段らしい。

<政府紙幣>景気対策財源で関心、インフレの恐れ=Q&A
2月4日22時2分配信 毎日新聞

景気対策の財源確保のため、政府が紙幣を独自に発行する「政府紙幣」構想が自民党内で浮上している。その背景や疑問点をQ&Aでまとめた。【赤間清広】

Q 政府紙幣って、いつも使っているお札と違うの?

A 現在の1000円札や1万円札などの「お札」の正式名は「日本銀行券」。政府から独立した中央銀行の日銀が発行し、日々のお札の流通量を調節することで通貨の価値を保っている。一方、政府紙幣は国が自ら発行する紙幣で、例えば「麻生1万円券」と印刷し、今の1万円札と同じ価値を保証することで、買い物や給料の支払いにも使えるようにする仕組みだ。

Q 政府紙幣が発行された例はあるの?

A 明治政府が戊辰戦争の戦費調達目的で発行した「太政官札」が代表例。米国でも南北戦争の戦費調達のため政府紙幣を発行したケースがある。ただ、いずれも中央銀行ができる前の話だ。景気悪化で税収が不足する中で国が大規模事業を行う場合、通常は国債を発行して財源を調達するが、国債には毎年の利払いや元本返済の義務がある。これに対し、政府紙幣ならコストは紙代や印刷代だけで発行分だけ歳出を拡大できる。

Q なぜいま、政府紙幣が急浮上しているの?

A 急激な景気悪化で政府は追加経済対策を迫られているが、税収は大幅に減り、特別会計の「埋蔵金」流用も限界に近づいており、追加対策を実施するにも財源のやりくりが難しい。財政が先進国中最悪の水準にある中、これ以上の赤字国債増発を避けたい自民党内で「借金を増やさず、財源調達ができる妙手」と着目された。元財務官僚の高橋洋一東洋大教授らが提唱していたが、麻生太郎首相と親密な菅義偉・自民党選挙対策副委員長が前向きな姿勢を示し関心がさらに高まった。

Q 弊害はないの?

A 政府紙幣が発行できるようになれば、与党からの歳出圧力はますます高まり、財政規律が失われる危険がある。また、政府紙幣の大量発行は市中に出回るお札の流通量を急増させ、急激なインフレを引き起こし、通貨の価値が低下する懸念もある。このため、与謝野馨経済財政担当相は「異説のたぐい」と否定的で、麻生首相も導入には消極的だ。自民党内には政府紙幣を持ち出すことで、日銀に「通貨価値が損なわれる」との警戒感を抱かせ、国債買い入れの増額など財政政策への一層の協調を日銀に迫る思惑もあるようだ。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090205k0000m020114000c.html
最近の言い出しっぺが渡辺喜美なのが、なんだかな~だけどね。

日銀総裁の白川氏は当然、インフレになると商品「日本銀行券」の価値が下がる訳だから反対の様です。
それに白川氏は「貨幣発行益」を良く判ってないみたいだ。
就任と同時に物価連動国債で見た期待インフレ率がマイナスに転じた日銀総裁であるから、この反応は驚くに当たらない。
むしろ日銀がデフレを脱却する政策を打つ気が無いことを示したという意味では政府紙幣の議論は役に立ったかもしれないね。

働いても働いてもお金にならないデフレ日本では、隣の韓国の様に徳政令を出す訳にもいかないから検討する意義はあるのでは無いでしょうかね?


12:00:00

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